工場の老朽化に伴う改修や、増産のための設備更新。
塗装工程の見直しは、工場経営における重要な課題です。
しかし、古い工場ではアスベスト含有塗料が使用されている可能性があり、その処理は専門知識と適切な手順を必要とする複雑な作業です。
適切な処理を怠ると、従業員の健康被害や高額な罰金、さらには事業継続の危機に繋がりかねません。
今回は、工場の塗装におけるアスベスト処理の適切な手順と費用について解説します。
アスベスト処理の手順
調査と事前準備
まずは、塗装面にアスベストが含まれているかどうかを調査する必要があります。
専門業者に依頼し、アスベスト含有塗料の有無、含有量、飛散性の有無などを確認します。
特に、作業範囲の明確化、近隣への影響、作業員の安全確保といった点に配慮が必要です。
規模の大きな工場では、作業区域の明確化、周辺への飛散防止策、作業員の健康管理など、より詳細な計画が必要です。
塗料の除去方法
アスベスト含有塗料の除去方法は、飛散性の有無によって異なります。
飛散性アスベストの場合は、厳格な安全対策の下、専門業者による除去作業が必須です。
非飛散性アスベストであっても、粉塵の発生を最小限に抑えるための適切な方法を選択する必要があります。
例えば、ケレン作業、サンドブラスト、高圧洗浄など、様々な除去方法があり、塗料の種類や状態、工場の構造などを考慮して最適な方法を選択することが重要です。
作業手順書を作成し、作業員への徹底的な教育を行うことも不可欠です。
アスベスト廃棄物の処理
除去したアスベスト含有塗料は、廃棄物処理法に基づき適切に処理する必要があります。
飛散性アスベストは特別管理産業廃棄物として、厳格な基準を満たした処理施設で処理されます。
非飛散性アスベストも、他の廃棄物と混ざらないよう分別し、適切な梱包・運搬を行い、最終処分場へ搬入します。
廃棄物処理費用は、廃棄物の量、種類、処理方法などによって変動します。
作業後の清掃と検査
アスベスト除去作業後、作業場所の徹底的な清掃とアスベスト残存量の検査を実施する必要があります。
作業員の健康管理も重要です。
作業後には、作業員の健康診断を実施し、健康被害の早期発見に努めることが大切です。
作業環境測定を行い、残存アスベストの有無を確認します。
万が一、アスベストが残っていた場合は、再処理を行う必要があります。
アスベスト処理の費用と対策
処理費用算出のポイント
アスベスト処理費用は、調査費用、除去費用、廃棄物処理費用、清掃費用、検査費用など、様々な要素から構成されます。
費用は、アスベストの含有量、面積、作業の難易度、処理方法などによって大きく変動します。
正確な費用を知るためには、見積もりを依頼し、内容を比較検討することが重要です。
費用を抑えるための対策
アスベスト処理費用を抑えるためには、事前調査を徹底し、アスベストの含有量を正確に把握することが重要です。
また、除去方法を最適化することで、作業時間を短縮し、費用を抑えることができます。
補助金制度の活用も検討することが大切です。
補助金制度の活用
国や地方自治体では、アスベスト処理費用の一部を補助する制度があります。
該当する補助金制度がないか確認し、申請することで費用負担を軽減できます。
法規制への対応とリスク管理
アスベスト処理は、廃棄物処理法、労働安全衛生法など、多くの法規制の対象となります。
法規制を遵守し、作業手順書を作成し、作業員への教育を徹底することで、法令違反のリスクを低減できます。
まとめ
工場の塗装におけるアスベスト処理は、専門知識と適切な手順を要する複雑な作業です。
適切な事前調査、安全な除去方法の選定、法令遵守、費用対策、補助金制度の活用などを検討し、専門業者に依頼することが重要です。
これにより、従業員の健康を守り、法令違反のリスクを低減し、事業継続を確保することができます。
アスベスト処理は、単なる費用問題ではなく、企業の社会的責任と従業員の安全を確保するための重要な課題です。
当社は全国の工場の塗装や補修を承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。