工場の設備や床面の老朽化は避けられない課題ですが、メンテナンスのために長期間操業を停止することは、経営にとって大きな損失となります。
補修の必要性を感じながらも、工期やコストの懸念から対策を先送りにしているケースも少なくありません。
しかし、近年注目されているポリウレアによるライニング工法であれば、工場の稼働への影響を最小限に抑えつつ、強靭な保護層を形成することが可能です。
この記事では、超速乾性と高耐久性を兼ね備えたポリウレアの特徴と、工場施設における具体的な活用メリットについて解説します。
稼働を止めずに老朽化対策ができるポリウレア防水の導入メリット
工場のメンテナンスにおいて最も重視されるのは、生産ラインへの影響といかにしてバランスを取るかという点です。
ポリウレア防水は、その特殊な性質により、従来の工法では難しかった「短工期」と「高耐久」の両立を実現します。
施工後数分で硬化するためライン停止期間を極小化できる
ポリウレア最大の特徴は、塗布してから硬化するまでの時間が圧倒的に短いことです。
スプレーで吹き付けた瞬間から反応が始まり、数秒から数十秒でゲル状になり、数分後には歩行可能な硬度まで硬化します。
そのため、エポキシやウレタン防水のように乾燥のために数日間養生する必要がなく、施工完了直後から通常通りの業務を再開できます。
例えば、金曜日の夜から施工を開始し、週末の間に工事を完了させ、月曜日の朝からフル稼働させるといったスケジュールも無理なく組むことが可能です。
フォークリフト走行にも耐える高強度の塗膜が床を守る
工場内の床は、重量物の運搬やフォークリフトの走行により、日々過酷な摩耗にさらされています。
ポリウレアによって形成される被膜は非常に強靭で、耐摩耗性に優れているため、コンクリート床の削れや発塵を強力に防ぎます。
一般的な塗床材では剥がれやすい走行ラインや旋回箇所であっても、その強固な物性により長期間にわたって下地を保護し続けます。
頻繁な塗り直しが不要になるため、長期的な修繕コストの削減にも寄与します。
酸やアルカリに強く排水ピットや薬品タンクの腐食を防ぐ
製造現場では様々な薬品が使用されますが、ポリウレアは高い耐薬品性を有しており、酸やアルカリによる腐食から施設を守ります。
排水ピットや薬品タンクの内面ライニングとして施工することで、コンクリートや金属の劣化を防ぎ、有害物質の土壌への漏出リスクを低減します。
防水機能と防食機能を一つの材料で兼ね備えているため、過酷な環境下にある化学工場や廃水処理施設でも高いパフォーマンスを発揮します。
300%以上の伸長率で下地のひび割れに追従し漏水を止める
コンクリートは経年劣化や温度変化、あるいは機械の振動によってクラック(ひび割れ)が発生しやすい素材です。
硬いだけの素材で表面を覆うと、下地のひび割れと一緒に表面も割れてしまいますが、ポリウレアは300%以上とも言われる高い伸長率(伸び)を持っています。
ゴムのように柔軟に伸び縮みするため、下地にクラックが入っても塗膜が破断することなく追従し、水の浸入経路を塞ぎ続けます。
この特性により、振動の多い工場建屋の屋上防水や床面防水においても、確実な止水性能を維持できます。
エポキシやFRPなど従来工法との違いと工場内で効果的な施工箇所
防水やライニングには様々な工法が存在しますが、ポリウレアは他の素材とは異なる独自の化学的特性を持っています。
それぞれの特性を理解し、工場の環境に合わせて適切な箇所に施工することで、その効果を最大限に引き出すことができます。
加水分解しない特性によりウレタン等より長期間の防水性能を維持する
一般的なウレタン防水は、水と反応して分解が進む「加水分解」という現象や、紫外線による劣化が弱点とされています。
これに対しポリウレア樹脂は、化学的に安定した結合を持つため加水分解を起こさず、経年による物性変化が極めて少ない素材です。
屋外のタンクや屋根、常に水に触れる貯水槽などであっても劣化しにくく、一度施工すれば長期間にわたって防水・保護性能を維持できるため、ライフサイクルコストの面で有利に働きます。
無溶剤で臭気がないため食品工場や閉鎖空間でも安全に施工できる
FRP防水や一部のエポキシ樹脂などは、施工時に溶剤特有の強い揮発臭が発生することがあり、換気の悪い場所や食品工場では敬遠されることがあります。
ポリウレアは揮発性有機化合物(VOC)を含まない「無溶剤」の材料であるため、施工時の臭気がほとんどなく、環境や人体への負荷が低いのが特徴です。
食品を扱う工場や、地下ピットのような閉鎖空間であっても、臭い移りや作業員の安全を気にすることなく施工を進めることができます。
継ぎ目のないシームレスな仕上がりで衛生管理が必要な床面に適する
シート防水やパネル貼り付け工法では、どうしても材料同士の継ぎ目(ジョイント)が発生し、そこから水が入り込んだり、汚れや雑菌が溜まったりする原因となります。
専用のスプレーガンを用いて吹き付けるポリウレア工法は、どれだけ広範囲であっても継ぎ目のないシームレスな一体被膜を形成します。
隙間がないため水洗いや清掃がしやすく、HACCP対応など高度な衛生管理が求められる食品工場や医薬品工場の床面ライニングとして最適です。
複雑な形状の機械基礎や配管周りも隙間なく密着させて保護する
工場内には多くの機械設備や配管があり、床面や壁面の形状は単純な平面ばかりではありません。
シート状の材料では施工が困難な凹凸の多い機械基礎や、配管が貫通している立ち上がり部分であっても、スプレー工法であれば形状に合わせて隙間なく密着させることができます。
手塗りではムラになりやすい入り組んだ箇所も均一な厚みで確実に保護できるため、細部からの漏水や腐食をシャットアウトすることが可能です。
まとめ
工場の老朽化対策において、ポリウレア防水ライニングは「超速乾」による工期短縮と、「高強度・高耐久」による施設寿命の延命を同時に叶える画期的なソリューションです。
耐摩耗性や耐薬品性、そしてひび割れへの追従性といった優れた物性は、過酷な使用環境にある工場の床や設備を守る上で大きなアドバンテージとなります。
また、無溶剤で環境に優しく、複雑な形状にもシームレスに対応できるため、食品工場から化学プラントまで幅広い現場での適用が可能です。
現状の課題や予算に合わせて、従来工法と比較しながら導入を検討してみてはいかがでしょうか。